238月/030
自由自在
Aっくんは家電量販店が好きだ。何が好きかというと、大抵下の方の棚はディスプレイしてある機種の空き箱置き場になっており、割と広いスペースが空いていることが多いからだ。
今日も今日とて、彼は下の棚に入り込み、ハイハイで棚の中を縦横無尽。ワタシはいつ店の人に怒られるかドキドキしながらも目当ての商品を探し当てたのだが、どうしてもレジに到達できずにいた。Aっくんはどうしても棚から出てこない、無理やり引きずり出すと商品に影響を及ぼすような位置から離れないあたり、相当知恵がついていると見た。
そこでワタシは、イチかバチかの賭けに出た。
Aっくんをおいてレジに行ったのである。量販店とはいえ1階のみの店舗、なんとかなるだろう。
とりあえずレジに直行、こういうときに限ってトロイ店員大当たりで相当イライラするものの1、とりあえずまだ泣き声はしない。金を払って速攻おいてきた場所に駆けつけると...。
い、いない...。
ワタシは焦って店内行脚を始めた。いない、いない、やべ!マジいないじゃん!まさかワタシを探してたまたま誰かが入ってきた自動ドアから出ていてしまったのでは...。どんどん悪い方向に考え始めたワタシだが、ふと。
大型プラズマテレビの前に置いてある座り心地のよさそうな一人掛けのソファが、目に入った。そこ2に、ちんまりと、Aっくんが座っているではないか。
ワタシが気づくのとほぼ同時に、ひょいとAっくんも振り返ってワタシを見つけ、開口一番彼が言うには「ママ!Aっくん、ここで待ってた!」。
教訓。やっぱ子どもから目を離しちゃいけません。
- 多分サービスだと思うんだけど、やたら丁寧に商品の確認をしてくれる。レジ前に「確認不要」とかいう札でもおいといてくれれば、速攻その札を取るのだが。 [↩]
- このテレビソファがあったのは、Aっくんを置いてきた場所とはほぼ反対。しかもそこに到達するためには、レジの近くを通るはずで、ワタシの姿も見たんじゃないかと思うのだが...。侮りがたし、Aっくん。 [↩]
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